グダ崩しを楽しむ

 4月某日、知り合いの営業マンが主催する4対4の合コンがあり、気乗りしないまま待ち合わせ場所に行くとおばちゃんが井戸端会議をしていた。合コン相手の質という点で全く信用できない男だったが、予想していた通りだった。対戦相手の皆さんだったのだ。

 「年齢層高くてすみません」。終了後、お誘いした別の男にこそっと漏らすと、「普通にいい人たちだったじゃないですか。え、年齢気にしすぎでしょ」。飲み会でのやる気のなさをけなされた気がして、たしかによくなかったなと反省した。そもそも惰性で参加したのがよくなかった。今後はビジネス以外での合コンには参加しない。絶対にだ。

 もやもやした気分でストに転向。前半きつかったため、気分転換に新しいことを試そうとして、1回声を掛けるごとに相手の特徴ややり取り、感じたことをメモすることにした。途中で面倒になってやめた。気が散る。

 終電間際、春っぽいシースルーのワンピースを着た子をバーに連れ出し。話を聞いているうちに子持ちの主婦だとわかった。普段は関東に住んでいるけど、子どもの春休みで関西に帰っているということだった。

 一回り上の旦那とセックスレスで、帰省したときはクラブで同世代の男をみつけてセックスしていると笑顔で話していた。旦那とは1年半前にセックスして以来、全く肌の触れ合いがないらしい。半年ほど前に誘われて「いきなり言われても心の準備ができていない」と断ったきり、誘われなくなったとか。

 「けっこう強めに拒否したし傷つけたと思う。でも、もうこれでセックスしなくていいんだって心が楽になった」

 「旦那は悲しんでるだろうね」

 「子どもがいるから一緒にいるだけで性的な対象として見ることはできひんから仕方ない」

 「だから今日は羽を伸ばそうとおもってるんや」

 「そうwww」

 勝ちを確信。店を出て「もう少し一緒にいよう」と打診したら、「今日はクラブで遊ぶと決めてるから」。あ、そっか。残念。クラブまでの道中、特にグダを崩そうともせず押し黙り、妙な感じが続いてそのまま別れた。温まった空気が急速に冷めていく感じ。よくあるやつだ。

 グダをくらった落胆が顔や仕草に出て相手に気をつかわせ、気分を下げてしまう。だから何かしら言葉を発するべきなんだろうけど、それができない。粘りが足りないというか、すぐあきらめてしまう。

 交渉することが苦手なんだと思う。感情をさらけ出し、ぶつけ合うことに抵抗を感じるネクラの弱さだ。今までの数少ない即もほとんどがノーグダだった。泥仕合を繰り返さないと強くなれない。むしろ、楽しむぐらいじゃないと駄目で、ちょっと拒否されたぐらいで落ち込んでいたら即はより遠のいてしまう。

 最近感じるのは、「セックスしたい」とストレートに打診、相手の強い反応を引き出し、丁々発止のやりとりに発展させるのがグダ崩しを上達させる一番の近道なんじゃないかということ。しばらくは小細工なしの火の玉ストレートで戦うことを誓う。

 「わかった。じゃあ単刀直入にいうけど、俺はお前とセックスがしたい。短い間やったけど話してて楽しかったし、もっとお前のことが知りたい。ホテルに行こう。絶対に後悔させない」。はい、セイ。