75歳のナンパ師

 

 

 「ハッピー・オーラ、ハッピー・エレガント、ハッピー・ナイスボディ。あなたとデートしたい、エッチしたい」。75歳の著者のオープナーだ。ほとんどがガンシカ、塩対応だが、「お付き合いをしてくれたら40万円あげるよ」とささやいて相手の表情が変わるのを確認したら、万札が挟めるように細工した特殊な名刺をブーメランで投げて反応を待つ。ハイスペックな美人専門で、それなりに結果を残しているらしい。

 金持ちがバカな遊びをしているように見えるけど、著者はとても純粋な人だ。戦後、鉄屑拾いのワープアから始めて、コンドームの訪問販売で起業。次に金融業に転身して成り上がった。なぜ頑張れたかというと美人とエッチしたかったからだ。稼いだお金は全て美人とエッチするための軍資金だと言い切り、今まで4000人に30億を使ったが後悔していないと断言する。女にしかお金を使わないから、稼いでいる割に住まいや食事は質素だというのも好感が持てる。

 商売の仕方はスト師に通じるものがある。足で稼ぐのだ。コンドームの訪問販売は当時、地域に一つしかないような薬局にしか置いておらず、当然ながらアマゾンなんかもなかったので、みんなこそこそ買いに行かざるをえなかった。そこで著者は各家庭をピンポンして回ることを思いつき、恥ずかしくて薬局に行けなかった奥様方にコンドームを売ってそれなりの財を成した。性欲を持てあました奥様方に誘われてセックスすることもあったらしいけど、ビジネスなので美人じゃなくても頑張って腰を振ったのだという。

 金融業に関しても、ティッシュ配りの女の子を大学でナンパして調達。大口の融資をお願いされて迷ったときは、自分で近隣の住民をピンポンして回って信用調査するという徹底ぶりだ。

 ナンパをしていて感じるのは、行動を起こさないと何も始まらないということだ。動けば動くほど結果がついてくる。週刊誌の死ぬまでセックス特集を読んでもんもんとしてるだけの老人にはなりたくないから、このぶっ飛んだおじいちゃんを励みに明日からも仕事、声掛け活動を頑張ろうと思った。

 ところで、このおじいちゃんはナンパ師なんだろうか。ストリートで声掛けをしているとはいえ、金をジャブジャブ使っているのでただの買春なのではないかとも思うけど、本人曰く、ソープやデリヘルと違って女にも選択の自由があるから買春ではないという。ナンパにどれだけお金をかけるかというのはクラスタ内でも意見が分かれると思う。エコナンという言葉もあるぐらいだし、いかにお金をかけずに即るかに重点を置く人は一定数いる。

 ナンパ師ってそもそもなんだろう。みんな他人に評価されるためにナンパを始めたわけじゃないし、楽しくセックスできたんであれば別にどっちでもいいのではないだろうか。ただ、人として美しいか、美しくないかというのはあって、俺はこのおじいちゃんは自分の欲望に素直で美しいと思う。